フレブルの歴史|ルーツを知ることでわかる気をつけるべきポイント

「そういえばフレブルってどうやって誕生したんだろう」
「人間が生んだものとかよく聞くけど実はよくわからないまま飼ってるかも」
フレンチブルドッグが歩んできた歴史は案外知らないことも多いですよね。

フレンチブルドッグは昔戦闘犬として牡牛(=ブル)と闘ってた「ブルドッグ」に起源があります。

その後戦闘犬が禁止されて以降もブルドッグを残すために、ペットとして愛されるよう攻撃性を弱めて愛らしさや温厚さを加えるようにブルドッグは改良されていきました。

そしてフランスの熱心なブリーダーの交配により誕生したのがフレンチブルドッグです。

そもそもブルドッグが口から鼻にかけて短いのは、牛と闘った際に相手を強い力で噛みながらも息が吸えるようにするためで、顔のシワが多いのも牛のツノの攻撃から身を守るためと言われています。

フレンチブルドッグも口から鼻にかけてが短く、顔のシワが多いので呼吸器系に弱かったり、皮膚炎にかかりやすいなどのリスクも多いのです。

そのため飼う上で注意すべきフレブルの弱点が4つあります。

1.呼吸器系の弱さ
2.皮膚炎
3.目の病気
4.帝王切開

諸説あるようですが、今回はフレブルの歴史を理解したからこそわかる「フレブルを飼う上で注意すべきポイント」を、あくまで今回学んだ結果としてご紹介します。

目次

1.フレンチブルドッグのルーツ

フレンチブルドッグになるまでにどんな過程があったか、実はなかなか知る機会もないかと思います。

中でもフレンチブルドッグは特に繊細と呼ばれ、平均寿命も10年〜14年と他の犬種に比べて短くなってしまっているのです。

フレンチブルドッグのルーツを学んでみると見えてくることがあり、だからこそ毎日の暮らしの中で気をつけてあげられること、気にしてあげられることがありました。

フレンチブルドッグが日本に来るまでの歴史のノートまとめをご紹介します。

1-1.起源は戦闘犬であるブルドッグ

そもそも犬のルールは狼にあると言われていて、そこからの品種改良で現在に至っています。

フレンチブルドッグの起源はイギリスで生まれた「ブルドッグ」。

イギリスを含めヨーロッパでは1800年にかけて、牡牛のことを「ブル」と呼び、犬(ドッグ)と闘わせるスポーツが盛んで、このスポーツの名前が「ブル・ドッグ」と呼ばれていました。

当時のブルドッグは牛と闘わせるためだったため、相手を噛んだら二度と離さないような強い噛む力と、長時間噛むことに耐えるために噛みながらも息を吸えるように口から鼻の距離を短くし、鼻の向きも上にしたと言われています。

また、顔のしわが多いのも牛のツノからの攻撃から身を守るためでもあり、闘いに強くあるために武器である「噛む力」を最大限活用するために顔も大きいのです。

このように、当時はあくまでも「闘うための犬」がブルドッグでした。

1-2.戦闘犬が禁止されペットとして飼われるための改良が進む

1835年になると戦闘犬が禁止され、ブルドッグはドッグショーで活躍する犬種になります。

その後ブルドッグを残すために、ペットとして愛される犬になるよう攻撃力を弱める交配が行われ、愛らしさを出すためにパグと交配された「イングリッシュブルドッグ」が誕生するのです。

1-3.フレンチブルドッグの誕生

1880年代にフランスの下町に住んでいた熱心なブリーダーの異種交配により、「フレンチブルドッグ」が誕生しました。

攻撃性を弱めて愛されるペットになるようにと、おだやかな性格のパグやテリアとかけあわせたため、フレンチブルドッグは温厚な性格の子が多いと言われています。

また、体の大きさもブルドッグの小型化ということもあり、ブルドッグに比べて小さな体となりました。

フレンチブルドッグ誕生後は主にネズミ捕り用に飼われることが多かったのですが、次第に上流階級や芸術家に人気が広がっていきます。

1-4.バッドイヤーが標準の耳になる

原産国であるフランスではたれ耳の「ローズイヤー」のフレブルが人気でしたが、アメリカに渡ったフレブルの耳は「バッドイヤー」と呼ばれる、今のフレブルの主流となった立った耳が特徴でした。

1887年にはフランスのドッグショーに初めてフレブルが登場し、翌年にはフランスの畜犬団体であるケンネルクラブでフレンチブルドッグが公認されます。

そしてアメリカで行われたフレンチブルドッグのドッグショーで、アメリカタイプである立った耳のバッドイヤーがフレブルの耳の標準と定められました。

現在もフレブルに「アメリカタイプ」「ヨーロッパタイプ」と呼ばれるものが残っているのはこのような歴史の名残と言われています。

1-5.日本に来たのは大正時代

1912年以降になるとフレンチブルドッグはついに日本に輸入されます。

この頃の日本は大正時代。

昭和初期になるとフレブルは多く飼われるようになりましたが、戦争もあり一時は人気が低迷。

近年また人気が再燃しています。

2.フレンチブルドッグを含めた短頭犬種が抱える問題

このように戦闘犬として強く闘える犬であるために「短頭種」と呼ばれる口と鼻の距離の短さとなったフレンチブルドッグ。

だからこそフレブルが今も苦手としている部分が、短命の原因とも言われています。

まずは口から鼻が短いため呼吸器系に弱いこと。

そして、戦闘犬から愛らしさを加えて体を小さくするという改良の結果であるフレブルは、丸い顔が特徴でそれゆえに幼さもある顔つきが大きな魅力の一つですよね。

しかしながらそもそも犬は細長い頭蓋骨ですが、短頭犬種の頭蓋骨は丸く、これは遺伝子の突然変異を利用して、人間が作り出したものなのです。

そしてもう一つは器官が密集していて酸素が吸いにくくなっていること。

丸顔にするために、外見で見る口から鼻の位置は短くなりましたが、実は内側の部分はほとんど進化していません。

そのため、内側はほとんど元の大きさのままなので上あご部分から食道の入り口にかけてに、器官が密集していて、器官へなかなか空気を届けることができず、酸素を吸うことが難しくなってしまっているのです。

ヨーロッパではこのようなことを改善するために、もう少し口から鼻の距離を長くする交配をすべきという声も出ていますが、「これ以上の交配はするべきではない」という反対の声も出ています。

3.フレブルを飼う上で知っておきたい4つの弱点

フレンチブルドッグの歴史を知って納得するフレブルの弱点が4つ見えてきます。

1.呼吸器系の弱さ
2.皮膚炎
3.目の病気
4.帝王切開

フレブルが病気にかかりやすい順でご紹介します。

4-1.呼吸器系の弱さ

犬は汗をかかない代わりに、「へぇへぇ」とベロを出して唾液を蒸発させることで体温を調整します。

フレブルは口から鼻にかけての距離が短いがゆえに呼吸器系が弱いため、「へぇへぇ」することでの体温調整が得意ではありません。

そのため、フレブルを飼う上では「暑いのも寒いのも弱い」と温度管理に気をつけることと、体温が上がりすぎないように運動をさせすぎないことで負担を減らしてあげることができます。

また肥満になることも呼吸器への負担をかけてしまうので、体重管理も重要です。

適正体重は担当医に相談するのが適切ですが、目安はオスで9〜14kg、メスで8〜13kgとなります。

4-2.皮膚炎

フレブルの特徴でもある顔のしわ。

この顔のしわが深いことから、しわとしわの間に汚れがたまり、皮膚炎になることも多いので注意が必要です。

もともとフレブルのしわとしわの間は油分などの汚れがたまりやすい上、さらに体の体温があがりすぎてしまうと、余計に蒸れて皮膚炎になりやすくなります。

また皮膚が弱くアトピーなども含めた皮膚炎にかかりやすいので、ブラッシングや拭き取りなども定期的に行って清潔に保つようにしましょう。

特にしわとしわの間はしっかりと拭き取るようにするのが重要です。

4-3.目の病気

他の犬種に比べて目が飛び出している短頭犬種は、目を保護するための涙の層を作ることが難しく、保護する力が弱まってしまうため、傷がつきやすく、ついてもなかなか治りにくくなってしまうのです。

目に入る涙の量が少ないためにドライアイの状態も起こりやすい上、目の表面から落ちた涙が涙やけを引き起こしてしまうことも多くあります。

4-4.帝王切開

戦闘犬として「噛む力」という最大の武器を活用できるように体が大きいブルドッグに由来することもあり、フレンチブルドッグも顔の大きさの割に骨盤が小さく、産道も細くなります。

そのため、出産の際に子犬の頭が産道を通ることが難しく、帝王切開で生まれる確率が高いのです。

ペットショップなどでフレブルの値段が他の犬種に比べて高いことは、帝王切開などの出産に向けたリスクが高いこととも言われています。

4.ももきちの場合

我が家の愛犬ももきちの場合は「軟口蓋過長症」という、いわゆる喉ちんこが長くて分厚いことにより呼吸が苦しいということがわかりました。

確かに他の子と比べても顔が小さいような気がするももきちだからこそ、顔の大きさに比べて中の器官の距離や大きさが変わらずに苦しかったのかもしれません。

手術前の症状と手術後の症状の変化を解説します。

4-1.軟口蓋過長症(1歳11ヶ月現在手術成功)

・軟口蓋過長症
・それゆえに体温調整が難しい
・それゆえに皮膚炎を引き起こす

かかりつけ医から早い段階で「呼吸音的に軟口蓋過長症の可能性が高いので、若いうちに手術を検討しましょう」と言われていました。

4-1-1.手術前のももきちの症状

今思えば下記はももきちが「苦しい」と頑張っていた症状です。

・すぐに「へぇへぇ」する(他のフレブルの子と比べてもももきちだけベロ出している)
・しばらくたつと「へぇへぇ」から「ガァガァ」に音が変化
・すごい水を飲む
・顔のしわとしわの間も真っ赤になる(この時の写真はももきちほとんど顔が真っ赤)
・肉球の間も真っ赤になる
・顔も肉球も処方されたものを一日に数回使っていても一向に改善されない
・朝見ると吐き戻してることが多い

1歳を過ぎてレントゲンを取ってみると、鼻からの息がほぼ通っていないくらい、器官が狭いことが判明しました。

4-2.軟口蓋過長症手術後の変化

手術後の一番の変化は

・「へぇへぇ」しなくなる(散歩後もへぇへぇする時間が激減!)
・「ガァガァ」は一切ない
・顔の赤みが一切なくなった
・肉球の間の赤みもきれいになった
・散歩中によく「クンクン」とニオイをかぐのを楽しむようになる

散歩中にクンクンして楽しそうにする姿を見ると「早く改善してあげられなくてごめんね」と心から思いました。

軟口蓋過長症についてはまた別の機会により詳しくご紹介しますね。

5.まとめ

<フレブルが生まれるまでの年表>
・フレブルの祖先は1800年までに戦闘犬として牡牛(ブル)と闘ってた「ブルドッグ」にある
・1835年に戦闘犬が禁止されペットとして愛されるように攻撃力を弱めるブルドッグの交配が進む
・1880年代にフランスの下町で温厚な性格のパグやテリアとかけあわせたフレンチブルドッグが誕生
・原産国のフランスでは垂れ耳のローズイヤーが主流だったがその後アメリカで人気の立った耳である「バッドイヤー」が標準になる
・大正時代に日本に輸入

<フレブルの体の変化>
・戦闘犬で牛に勝てるように噛む力を強くして噛みながらも息が吸えるように口と鼻の距離を短くした
・顔のしわも牛のツノからの攻撃から身を守るため
・戦闘犬が禁止されて以降もブルドッグを存続させるために温厚にする交配が続きフレンチブルドッグになる(小型化、愛らしさ、温厚さ)

<苦手なこと>
1.呼吸器系の弱さ
2.皮膚炎
3.目の病気
4.帝王切開

だからこそ!
一緒に出会えた愛犬と少しでも長く一緒に暮らせるよう、愛犬についての歴史や知識をいろいろと学び、彼らがより過ごしやすくなる環境を作ることが、私たち人間としてできることなのかもしれませんね。