環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン」を学ぶ
新年あけましておめでとうございます。
1月1日に起きた令和6年石川能登地震のニュース。
お正月に起きてしまった大きな地震。
被災地でフレブルはもちろん、愛犬がどのくらいいるのだろう。。。そんなことを考えていると、ニュースで伝わらない情報に心が痛みます。
ハロブルとしても何か出来ることがないかいろいろ調べてみました。
最初に感じたことは、行方不明の方が多くいらっしゃる中でなかなかペットに関する情報がわからないこと、その理由はやはり「まずは飼い主である人命優先」ということ。
そこで、環境省が公表している「人とペットの災害対策ガイドライン」をしっかりと知って、備えられることをしっかりと把握したいと思いました。
しかし難しい言葉がたくさん並んでいるとどうしても頭に入ってこなくなってしまうため、このガイドラインをハロブル的にわかりやすく、簡潔にまとめて学んでいきたいと思います。(参考 環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」)
この勉強ノートは期間限定で無料配布いたします。<PDFファイル>
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予約番号:40443609
有効期限:2024年1月13日23:59 まで
目次
災害対応における基本的な視点
災害時のペットへの対応は「飼い主が自分たちでペットを守る」が基本
災害時の行政機関の支援は人の救護中心となるのでペットの支援まで手が回らず厳しいため、災害時のペットへの対応は飼い主が「自分たちでペットを守る」が基本です。
そのため
- 飼い主は災害時でもペットの安全と健康を自分の手で守れるようにする
- すべての被災者の生活を守るためにできるだけ迷惑をかけないように普段から備える
▶ 災害時にペットを守ることはペットを飼う上での責務
災害時の自治体のペット対策
自治体が行う災害時のペット対策は2種類ある(飼い主の責任によるペットの飼養管理が基本)
- 避難所での避難生活まで…ペットの一時預りや避難所での飼養環境の整備などの支援…被災者が置かれた状況に応じてペットの長期預かりなど
- 避難所を出た後の応急仮設住宅などでの生活以降の対策...被災者が置かれた状況に応じて、ペットの長期預かりなど
目的
- 飼い主とはぐれてしまうことで、ペットの生活環境が悪化し、野生化、衛生環境も悪化してしまうことを防ぐ
- はぐれたペットと再会できることが飼い主の心のケアとなり、再び自立できる力になる
- ペットを飼っていない、アレルギーがあるなどすべての被災者の生活を守るため
理由
- 災害時の行政機関の支援は人の救護中心となるのでペットの支援まで手が回らず厳しい
そのため
- 飼い主は災害時でもペットの安全と健康を自分の手で守れるようにする
- すべての被災者の生活を守るためにできるだけ迷惑をかけないように普段から備える
可能な限り同行避難が必須!
災害時には可能な限りペットと一緒に避難する「同行避難」が必要=安全な避難のためには飼い主の安全確保が大前提
ただし「同行避難」は避難所までの避難することを指すため、避難所でペットと同じ場所で生活できる「同伴避難」とは限らず、ペットは別の場所(一般的には屋外)での生活となるため、同伴避難できる場所は事前にリサーチしておく必要がある
理由
- 過去の災害でペットと飼い主が離れ離れになる事例が多く発生し、保護には多くの労力と時間がかかり、ペットが負傷、衰弱、亡くなってしまうケースがあった
- 過去の災害で野犬化や不妊去勢が行われていないペットでの繁殖による生態系への悪影響があり、災害後の保護や制限措置が必要となった例がある
- ペットを守ることがすべての被災者の生活を守ることにもなる
- 災害時には人命優先が原則だが、ペットが家族と認識されつつあるため、ペットと同行避難は動物愛護だけでなく、被災者の心のケア
もしもペットと離れた場所で被災したら
個人での対応には限界がある場合に備え
- 飼い主の支援体制
- 放浪動物、負傷動物等の救護体制
を整える必要がある
ではペットを対象とした災害時の支援はどこが?
災害発生時には多くの民間支援団体が被災地に入る。
しかし人間の救護とは異なるためルールや行動規範に明確なルール、コーディネート機能が弱いことも現状。
そのため
信頼性のある人材の確保をするため、日頃から自治体と地方獣医師会は民間団体との協力関係を築き、災害時に協力できるような体制を整備するための動きをしている
災害時には飼い主がペットを守ることを自治体 × 民間支援団体でサポート
災害時と災害に向けての備えと役割
飼い主の役割
飼い主の役割はペットの安全確保。つまり災害時にペットを守るために、まずは飼い主が無事でいることが前提
日頃からの適切な飼養管理が最も有効な災害対策
備え *犬の場合 | 飼い主自身の安全確保がペットを守る第一歩。自身の備えを |
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住まいの対策 ● 住まいの耐震強度の確認や補強、家具の固定 ● ケージは固定した家具のそばに配置 ● 放し飼いの場合は避難スペースを用意 ● 屋外飼育の場合は周囲の危険箇所と回避する対策 | |
健康管理と管理証明 ● 狂犬病予防接種などの各種ワクチン接種と鑑札や証明書 ● 犬フィラリア症など寄生虫の予防、駆除 ● 不妊・去勢手術 ● ワクチン接種状況、既往症、健康状態、かかりつけの動物病院などの情報 ● ペットの写真 | |
しつけ ● 待て/おいで/お座り/伏せなどの基本的なしつけ ● ケージやキャリーバッグに慣らす ● 無駄吠え対策 ● 人や他の動物への怯えや攻撃対策 ● トイレ訓練 | |
飼い主がわかるようにする ● 迷子になった場合の対策(首輪/迷子札など) ● マイクロチップ(日本獣医師会などに所有者情報を登録することで、はぐれた際の返還の可能性が高まる) | |
ペット用の避難用品と備蓄品の確保 ● リード、キャリーバッグなどの移動に必要なもの ● 少なくても5日分の必需品(食事、水、おやつ、ペットシーツ、うんち袋、タオル、ブラシ、ウェットティッシュ、おもちゃ、ライト) ● 療法食、薬 ● 食器(たためるとより良い) ● ガムテープ | |
避難場所についてリサーチ ● 住んでいる場所をハザードマップで確認、被害想定を頭に入れておく ● 避難所の所在地、避難ルート ● 避難所にペットを連れて行く場合の注意事項や救援物資の受け取り場所確認 ● 家族間での共有 ● 多頭飼いの場合は同行避難可能頭数や避難所情報のリサーチ必須 ● 指定避難所以外に親戚や友人などの一時預け先を確保しておく | |
近隣住民との連携 ● 住んでいる地域で避難場所について話し合っておく ● 近隣住民と良好な関係を築いておく ● 近隣住民での飼い主同士でペットの犬種や頭数や名前を把握しておく | |
災害時 | 自身の安全を確保 |
ペットとの同行避難 | |
感染症対策の予防や避難拠点のルールを守って適切にペットを管理する | |
心構え | 飼い主はペットを飼う = ペットの健康や安全を守ることが責務 |
十分な備えや心構えを持てるように務める |
自治体の役割
関係機関と連携、同行避難の推進や避難所での必要な飼養支援、迷子の動物の保護やケガをした動物の救護など、関係各位と調整、連携を取り総合的な支援を行う
備え | 飼い主に対してペットの飼養・管理方法を普及啓発 |
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ペットの同行避難や適正な飼養管理に関する情報提供 | |
飼い主が責任を持って行動できるようにサポート | |
災害発生時に各行政機関や関係団体と連携し、円滑な救護活動ができるように協力体制を構築 | |
地方獣医師会や民間団体、企業等と連携協定を締結し、災害時の保護や救護活動に備える | |
現地動物救護本部等の設置に向けた準備を進め、災害が発生した場合の迅速な動物保護活動を確保 | |
災害が発生した直後に自治体が動物保護活動を開始する難しさに備え、自治体間で協力して広域での対応体制を整備 | |
改正動物愛護管理法に基づき、動物愛護推進員との協力体制を構築 | |
都道府県等は各自治体の災害に関する計画や、関連項目を参考にし、必要な対策を検討 | |
災害時(都道府県) | 特定施設の破損や危険動物逸走時の対応 |
被災者とペットの情報を集める | |
各機関への連絡や支援の調整 | |
避難所でのペット同行の実態を調査 | |
被災地へのペット関連の指導と助言 | |
動物関連の相談窓口設置 | |
動物愛護推進員への協力を要請 | |
獣医師の派遣と調整 | |
現地動物救護本部の検討 | |
放浪や負傷動物の保護と活動 | |
被災住民への動物救護情報提供 | |
避難情報と飼養の指導 | |
動物由来感染症の防疫 | |
救援物資の調達、輸送手段の調整 | |
災害時(市区町村) | 指定避難所への同行避難者誘導と支援、応急仮設住宅での受け入れ |
指定避難所でのペット情報提供、飼養指導と支援 | |
動物救護本部の支援要請と協力 | |
被災住民への動物救護と飼養支援情報提供 |
地方獣医師会の役割
大災害時に動物の救護や治療を支援。自治体や関連団体と協力して、災害に備えた計画を立て、獣医師が被災しても、近隣の獣医師会と協力して助け合い、被災地での獣医療活動をサポート。
備え | (公社)日本獣医師会が作成した「災害時動物救護の地域活動マニュアル策定のガイドライン」を参考にし、地域ごとに災害対策計画やマニュアルを策定 |
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各地方獣医師会がこれらの計画やマニュアルに基づき、地域の特性やニーズに合わせた協力や支援を検討 | |
大規模な災害が発生した場合、自治体が人の救護に忙殺される中、地方獣医師会は現地動物救護本部の構成団体として積極的に協力し、本部の設置に努める | |
設置後は構成団体として救護活動を行い、ペットへの対応や動物の保護・治療などに関与 | |
近隣の地方獣医師会との連携について検討し、情報共有や資源の効果的な活用などを協力体制の一環として強化 | |
被災地域への支援が難しい場合を考慮し、広域での連携やサポート体制を整備 | |
災害時 | 都道府県の動物救護活動に協力 |
動物由来感染症の防疫と予防 | |
現地動物救護本部設置時に自治体と協力して動物救護活動 | |
避難所への獣医師派遣、避難動物の健康管理、公衆衛生対策の支援 | |
飼養難のペットの預かりや譲渡の支援 | |
負傷動物などの治療と保管 | |
近隣地方獣医師会への支援要請(人材派遣、預かり、譲渡など) |
民間団体・民間企業等の役割
民間団体…動物愛護を中心にした組織で、災害時に自治体と協力し、支援や協力活動のルールを定め、現地動物救護本部等に協力する
民間企業…動物取扱業者やペット関連業界で、平常時からペット用品の備蓄や人材派遣に協力し、専門的な知識や技術を持つ人材派遣や救援物資の供給を検討する
備え | 発災時の協働活動に備えて、自治体や関連機関との協力ルールやプロトコルを整備 |
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災害時 | 救援物資の配布支援 |
避難所や仮設住宅でのペットの飼養管理の協力 | |
所有権が放棄されたペットの新しい飼い主探しの協力 | |
ボランティアの管理などへの協力 | |
その他、自治体が必要とする支援への協力 | |
ペット用品の提供 | |
専門的な人材や機材、車両の提供による技術や動物輸送の支援 | |
被災した動物取扱業者の動物管理協力 |
現地動物救護本部等の役割
被災地で動物救護活動を担う組織で、平常時から体制を整備し、災害発生時には迅速な活動を開始。自治体や獣医師会と連携し、飼い主支援や動物救護を調整して円滑な被災者支援を実施する
備え | 自治体や地方獣医師会等が現地動物救護本部等の設置の必要性を判断し、構成団体や機関と調整して本部を設置 |
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地域住民や飼い主に対して、動物救護本部の役割や提供する支援に関する情報を提供し、啓発活動を行う。正確で迅速な情報伝達に努め、地域全体の理解と協力を得る | |
災害時 | 災害情報の収集と関係機関への連絡、ペット災対協への支援要請と調整を含む広報活動 |
必要な物資の調達と被災地への配布 | |
ボランティアの募集、配置、および管理 | |
義援金の調達と有効な利用 | |
避難所や仮設住宅へのペットの受け入れに関する市区町村への要請 | |
避難所や仮設住宅でのペットの飼養・管理の支援 | |
ペットに関する相談窓口の設置 | |
保護が必要な動物への適切な対応 | |
動物救護施設の設置と効果的な運営 | |
被災ペットの治療や一時預り、譲渡などに関する動物病院への協力要請 | |
必要な人材、物資、資金、技術、情報提供の要請 |
ペット災対協の役割
災害時に人とペットの安全を確保するため、地方自治体や関係機関と連携し、人材、物資、資金の面から支援を行う
備え | 環境省や他の行政機関、民間団体、企業との連携 |
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現地動物救護本部や都道府県、地方獣医師会との協力や連携協定 | |
都道府県や市区町村への情報提供 | |
避難所での動物飼養に関する市町村への助言飼い主向けの同行避難や避難所でのペット飼養の啓発 | |
ペット災対協の協力団体への物資支援の調整 | |
動物救護活動団体・施設のリスト作成と関連研修 | |
動物救護活動ボランティア指導者の育成 | |
災害時 | 情報収集と現地調査 |
関係行政機関や被災自治体、現地動物救護本部などとの連絡調整 | |
現地動物救護本部組織化と活動への支援 | |
ボランティア指導者の派遣と支援物資の送付調整 | |
動物救護活動協力団体や施設リストの提供 | |
義援金の募集代行(現地本部の口座が開設されていない場合)、海外からの支援窓口 |
国の役割
普段からペットの災害対策を広めて、災害時には避難所でのペットの受け入れや職員の派遣、動物救護の支援を通して、人とペットの安全を支援する
備え | 被災地での人とペットの災害対策を支援するため、必要な支援体制(物資の供給、医療サポート、救護活動など被災地域に効果的なサポート)を構築 |
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動物関連の法制度や規定を整備し、災害時のペット対策に必要な法的な基盤を構築 | |
国内外のベストプラクティスや成功事例を調査・分析し、それを関係機関や団体と共有 | |
動物愛護に関する啓発活動を実施し、ペット飼い主や住民の認識向上を促進 | |
災害発生時に迅速な緊急支援を提供する仕組みを整備 | |
災害時 | 避難所や仮設住宅でのペットの管理と安全確保に関する都道府県等との連絡調整 |
災害現地への職員の必要に応じた派遣と救護支援の実施 | |
ペット災対協との連絡調整による被災地の動物救護活動への支援 | |
関係機関との連絡調整や支援の要請、調整などに対応 |
まとめ
改めてしっかり調べてみると、ももきちに対して備えられていないことだらけだったことに不安になりました。
先日、朝の散歩でももきちがうんちをしてしまい、うんちを取って水で流しているときに「そこであまりおしっこさせないでね」と近隣の方に注意されたことから、「正しいマナー」について考えているときのこのニュース。
愛犬と一緒に安心して暮らすためには、お互いが気持ちよく生活できること、つまり相手に対しての思いやりが大切であり、マナーにつながるのだと感じました。
私たちが住んでいる東京都世田谷区では全避難所が同行避難の対象となっていましたが、同伴避難できる場所は現状まだ探せませんでした。
早速家族で「まずは何かあったらここに避難しよう」とだけ話し、引き続き備えをしていきます。
「人命優先」なのではなく、ペットの安全は飼い主が守ることが義務だからこそ、まずは飼い主を助ける。
そのため自治体は人命優先で救助を行いますが、多くの団体がペットの救出に動いているのがわかりました。
余裕がない中でもしもはぐれてしまったとき、会える確率を高める方法は私たちの日頃の備えの力が大きいこと、今回の勉強の中で得た、一番大切な学びとなりました。
家族が揃って、少しでもあったかい場所で過ごせますよう。
私たちもできることから。