ひび|犬が少し怖い少年と天真爛漫なももきちのお話②
目次
犬が少し怖い少年がまた1人で泊まりに来た
2023年8月に公開した「犬が少し怖い少年と天真爛漫なももきちのお話」の甥っ子が冬休みに泊まりに来た。
彼はやはり、犬がまだ少し怖い。
ももきちはやはり腰を振ってしまうので、私も注意して褒めてをしつつも、彼にも「ももきちの目を見て強くNOと言って、やめたら褒めてね」をお願いした。
彼が泊まっている中でソファに座るたびにほとんどの時間でこれを繰り返すことになったほど、なかなかやめなかった。
書き初めの宿題事件
彼はうちで書き初めの宿題をやった。
うちのアキラが書道の師範代(!)の資格を持っていることもあり、彼へのスパルタ指導があって、練習用の半紙70枚を使い切るほど頑張った。
翌日に残した本番の長い半紙での本番は3枚。
そのうち2枚は失敗したので、名前を書く練習をたくさんした。
最後のチャンスの1枚で、すずりで墨を筆につけているとき、すずりの中の墨が最後の1枚の半紙に飛んで広く汚れてしまった。
私からはどんなに頑張っても最後の最後で雑になってしまうと、全部無駄になってしまうから、学びにしようねと叱らずに伝えたが、彼はこっそり泣いていた。
学校指定の半紙はもうやり直すチャンスがなかったのだ。
ももきちが見せた優しさ
汚れた服を軽く洗って、リビングのソファに戻るとももきちが彼のそばに行った。
いつもみたいに腰を振ったかと思えば、少しすると彼におしりをくっつけて静かに隣に座ったのだ。
私は驚いて彼に「撫でてあげて」と伝えた。
さらに「犬がおしりをくっつけるのは信頼している証拠。さらに犬は人の気持ちの変化も気づいてくれるっていうから、落ち込んでいることに気づいて、きっとももきちなりに励ましているのかもよ」と話した。
彼は「ももきち〜」と優しく名前を呼んで、はじめて自分からももきちの背中に抱きついて「ありがとう〜」と優しく頭をなでた。
ももきちはそこから少しの間、腰を振らなかった。
2人の変化
犬が怖かった少年と、腰を振ってマウントを取ってばかりのフレブル。
どちらもきっと、甘えるのがとても下手なのだ。
だからこそ、お互いが信頼できたときに強い絆に変わるのかもしれない。
翌日、妹から「ももきちに会いたくてさみしいって泣いているよ」とLINEが届く。
彼にとってももきちはやはり、友だちになったんだ。
前よりも少し強い絆の友だちに。
気がつくと「庭に出ていい?」と、庭に出て落ちている花びらを1人掃き掃除して、きれいにしてからももきちを庭に出した彼。
庭に出た瞬間、嬉しそうに庭を1人で走り回るももきちを見て、私の方が何か教えてもらったような気がした冬休みでした。